2018年5月24日、タムロンよりソニーのEマウント用レンズ『28-75mm F/2.8 Di III RXD (Model A036)』が発売されました。
僕にとっては、待ちに待った一本でした。公式サイトで、発売当日に行き渡らないと宣伝されていたのでドキドキしていたのですが、無事発売日にゲットできました。
しばらく遊んでみたので、レビューをしたいと思います。
まずは特徴をピックアップ。
- F2.8の明るいズームレンズ
- メチャクチャ寄れる
- 軽いから、α7に合う
日常から旅行まで、もし「1本だけ持ち歩く」なら、A036が最適だと感じました。
それでは、見ていきましょう。
A036 購入のきっかけ
僕はずっとソニーユーザーで、以前はαマウントのカメラを使っていた。そのときに一番よく使っていたレンズが、タムロンのSP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO。通称『A09』。
2万円台前半で買えるリーズナブルなレンズながら、通しF2.8の明るさと、ソコソコ寄れて、ズームもできる非常に使い勝手のよいレンズだ。僕はたくさんの国に旅行に行ったのだけど、ほとんどの場合A09一本でまったく問題なかった。
で、Eマウントにシフトしたときに困ったのが、A09と類するレンズが無かったこと。これまでのEマウントズームレンズは、僕のスタイルには合わなかった。
たとえば、『SEL2470GM』は大きくて重い。しかも20万円オーバーと、かなり高価だからそんなカンタンに買えないわけです。(僕はそこまで沼にハマっていない。)
2018年に発表されたソニーの『SEL24105G』には食指が動いた。F4通しで、24-105mmとかなりの万能ズーム。だけど、やはり重い。(A036の方が100g以上軽いのです。)
僕は趣味レベルのアマチュアです。だから、カメラが重くなることはどうしても避けたい。なぜなら、持ち出すのがおっくうになってしまうから。
どうせ一度買ったら使い続けるのだし、気に入ったものが出るまでガマンしようと思って、ソニーのαレンズ用マウンタ『LA-EA4』と『A09』をドッキングして使っていました。
SONY マウントアダプター LA-EA4 ソニーαレンズ/ソニーEボディ用
そんな中、「A036」が発表された。
A09にベタぼれしていた僕に、迷いはなかった。はじめて見た瞬間、コレだと思った。万能レンズがほしかった僕が、A036を選ばないという選択肢は無かった。
技術的な進化を試したかったのもある。
『A09』は、15年も前に発売されたレンズ。だからそのシステムはとても古い。
例えば、AF時のレンズ稼働音は、かなり大きい。
比較的安いEマウントのレンズ『SEL28-70』でさえ、ほぼ無音。いったんこの静粛性に慣れてしまうと、A036のAFフォーカス動作の「ジッ、ジジッ」という音が、余計にうるさく感じる。
レンズが重いから、ぶら下げていると、勝手にレンズが伸びたりもする。
そういった「ちょっとしたストレス」を感じながら使っていた中、A036はセンセーショナルに登場した。
公式サイトのどこを見ても、僕をワクワクさせてくれる。
たとえば、
「AF駆動には静粛性に優れた高速・精密なステッピングモーターユニット」
細かいことを言うとキリがないのだけど、レンズ構成もガラリと変わっている。α7シリーズのEマウントに特化した、「A09」とは全く異なる、新しいデザインにシステムに一新されているのだ。
最後の決めては価格だった。
他レンズとは一線を画する特徴を持ちながら、10万円未満で買うことができる。こんなレンズ、これまでのEマウントになかった。
A036の4倍の値段のレンズを、安いと思う。もう片足を沼に入れているだけど、迷いはなかった。予約開始直後に、ポチったわけです。
開封
やはり光学機器は通販で買うに限る。ダンボールがでかいから、プレゼント感がバツグン。
パッケージはすごくシンプル。最近のTAMRONのパッケージ、すごく好きです。
説明書とか。
レンズは、ダンボールで支えられている。
袋に直に入っている。この包装そのものは防御力はないし、すごく安っぽい。とても10万円もするプロダクトとは思えない包装だ笑
レビュー
サイズ感
意外と小さくはない。コレが第一印象。
僕は片手でバスケットボールが掴めていたので、手がかなり大きい方だと思うのだけど、ちょうど良いサイズ。
ボディはスリムだ。マットな質感と相まって、スタイリッシュに感じる。カメラカメラしてないところがいい。
ズーム時のサイズ
伸ばしていないとこんなサイズ。iphone7より少し長い。
ズームリングをMaxまで回すとコレくらい伸びる。
フィルターサイズ
レンズの幅は、67mm。
実は、「A09」と同じです。すでに「A09」でお使いのフィルターがあれば、そのまま使えます。(まさに僕がそうなのですが)。
重さ
まず、560gのレンズというのは、決して軽くはない。(だいたい、500mlのペットボトル)
ペットボトルよりも小さいのに、少し重い。だから重みは感じる。
ただ、最初に書いたとおり、僕はよく「LA-EA4 + A09」のシステムで撮っていたので、それと比べると120gほど軽くなった。けっこうな軽量化。十分に満足できる。
質感
公式サイトでも見たイメージのとおり。非常にマットな質感。サラリとしていて、触っていて気持ち良い。
プラスチッキーな感じはしなくて、十分に高級感が味わえる。公式サイトの写真で見るより「実物のほうがずっといい」と感じるはずだ。外観の美しさはレンズ性能には一切関係がないのだけど、やはり所有欲が満たされる。(高いレンズを買ったときのイイワケにもなるから、レンズメーカーは力を入れるのかもしれない笑)
レンズに過度な装飾は一切なくて、細字のフォントでブランドと必要な情報が記載されているだけ。
よく見ると、”DESIGNED IN JAPAN”と表記されている。
買ってから気づいたのだけど、MADE IN CHINAと箱に書いてあった。まぁいいか。僕の好きなApple製品だって中国製だし。
静音性
もう一度、公式サイトから引用してみる。
「AF駆動には静粛性に優れた高速・精密なステッピングモーターユニット」
これは、そんなでもない。
A09のフォーカス合わせ音が「ジッ、ジジッ」。
A036は、「シー、シー」といったところ。音はA09よりダンゼン小さいのだけど、無音ではない。
正直、SEL28-70の方が小さいです。
結論としては、思ったほどではないです。
操作性
フォーカスリング
フォーカスリングを回した感じは、しっとりと柔らかい。ざらつき感が皆無で、動かそうと思った分だけ気持ちよくついてきてくれる。とてもスムースで、回したときに音もしない。
無限に回るタイプです。(限界まで回すといったストップしない)
ズームリング
ズームリングは、しっかりと重め。一般的な操作感です。動かすと音がする。
総じて、高級なレンズを操作している感が十分に堪能できます。
ちなみに、レンズ本体で操作できることは、これで全て。
これは、好みが分かれるポイントだと思う。たとえば、「24-105G」は、「AF/MF」切り替えスイッチが付いていていて、左手で切り替えることができて便利だ。機能性においてA036は、より上位の(高価な)レンズに劣ると言っていい。
ただ、A036のシンプルなデザインは個人的にとても気に入った。ボタンが一切なくて、非常に簡素な仕上がりに思う。余計なものが無いからこそ、質感やフォルムが際立つ。かっこいいのだ。
AF性能
普通。特段早いとも遅いとも思わない。
ストレスなく使えるので、問題ない。
信じられないくらい、寄れる
最後はA036でもっとも気にいった点、いかに「寄れる」かをご紹介しましょう。
上の写真は、レンズフードの”TAMRON”のロゴにフォーカスを合わせてます。
で、このときレンズは4cmくらいしか離れていない!
メチャクチャすごい。
ここまで寄れるEマウントズームレンズは、これまでなかった。公式のスペックからも「広角端での最短撮影距離0.19m」と発表されていたので、かなり期待していたのだけど。
結果は、上記のとおり。期待を大幅に上回った。
物撮り、食レポで使う僕にとって、これだけで買って良かったと思えるスゴさ。もちろん、マクロには敵わないのだけど、そこまでは必要ないなら、十分すぎる。
あとがき
これまでも、Eマウント標準ズームはあった。
安くてコンパクトなものなら、『SEL28-70』がある。ただ、暗い。
もっとズームがしたいなら、『SEL24105G』がある。ただ、高くて、大きくて、重い。
『A036』は、これらのレンズとは、明らかに違う。
軽くて美しく撮れる単焦点では、融通がきかない。だから、1つのレンズで、アレコレ撮りたい。そこそこ軽くて、小さくて、明るくて、ちゃんとズームしたい。さらに、寄って撮りたい。
であれば、A036は最高の一本だと思う。
こんなワガママを叶えてくれるレンズは、これまでに無かった。でも今日からは、A036がある。Eマウントにおいて、これに代わるレンズは無い。だから、僕の総評としては、完全に買いだ。特に、はじめてのズームなら、本作を買っておけば間違いない。