「写真の教科書」は本当に教科書。万人にはオススメできない【書評】

写真の教科書

はてブで話題だったので中身も確認せずに買って読み終わりました!
(僕はLightroomで現像するレベルです。)

インプレスのデジタルカメラマガジン編集部より、書籍「さあ、写真をはじめよう『写真の教科書』写真を本格的に学びたい人のための基礎と演習」(1,900円+税)が発売されました。

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期待を込めて購入すると、後悔すると思いますのでご紹介します。

本書は教科書的な本です
(読み物として難しい)。

決して万人向けではありません。

僕がおすすめする読者は以下のとおり。

  • 授業の教科書として使う(本書の内容を理解し、サポートしてくれる人がいる)
  • カメラや写真が好きで、カメラの構造や歴史を広く浅く知りたい

カメラになれておらず、
綺麗な写真、カッコイイ写真を撮りたいという人にはオススメできません。

本書の残念だった点を紹介したいと思います。

読みにくい。スッと頭に入らない

本書を先頭から読み進めても分からないことが多いはずです。
例えば、「課題5 ホワイトバランスコントロールとRAW現像」の章です。
ここを読み進める時点でRAWとホワイトバランスについてある程度の知識が必要になります。
しかし、ここまでに詳細な説明はありません。
この構成に問題を感じます。

本書は大きく2つの構成に分かれています。

  1. 制作演習
  2. 基礎知識

この1.の中に2.の知識が前提となる記述があるため、知識がない人にはかなり難しい。
1.と2.を往復しながら読み進めることになります。
(ホワイトバランスと色温度の説明は2.に出てくるのです。)

さらに惜しいのは、
“どういうときにRAWで撮らなくてはいけないのか?”といった疑問に応えていないことです。
“ホワイトバランスを調整できない。”の記載はありますが、
だからどういう写真を救えなくなるの?
どういうときにRAWで撮るのがオススメなの?
の答えが無いのです。

特定のツールを使った実践が前提になっている

課題6でPhotoshop CCを使ってのRAW現像が出てきます。

本のタイトルが”Photoshopプロフェッショナルガイド”だったり、目次に”Photoshop”と書いてあれば諦めもつきますが、課題6のページを開かなければPhotoshopが前提であることは分かりません。

これがいくつかあります。
そのため、Photoshopを持っていないユーザは置き去りにされます。

現像の面白さが伝わってこない

RAWを現像するときには露光量、コントラスト、ハイライトなど様々なパラメータを変化させます。
本書でもそのページがあるのですが、効果が分かりにくいです。
一部抜粋しましょう。

コントラスト。おもに中間調に影響してコントラストが変化。ほかの補正、およびトーンカーブで補正しきれない場合に使用します

まず、Photoshopが前提となっていることに閉口しますが、そこは我慢しても、コントラストを増減させた結果の写真が小さい&被写体が微妙なのがいただけません。
コントラストを変更する面白さが伝わってこないのです。

例えば『Lightroom5プロフェッショナルの教科書』ではコントラストが与える効果が大きな写真で掲載されています。
これにより、ツールを使ったことが無くても
コントラストの増減 = 写真の柔らかさやメリハリを変化させる大切なパラメータ
だと分かるわけです。

それが、「写真の教科書」では表現できていません。
現像の経験者は分かります。しかし、経験のない人はイメージができないのです。
(教科書だし、身体で覚えろということなのかな?)

題材が広すぎる

課題4は「フィルムカメラによる撮影・現像・引き伸ばし」です。
フィルムカメラに興味がなければ読まないでしょう。
現像液を使っての現像方法を説明していますが、これにチャレンジする方は極めて少数のはずです。

(買う前に目次読めよというのはごもっともです・・・)

授業で使われることが前提

例えばRAW現像後の保存形式で以下の説明があります。

演習ではファイル形式をPhotoshop、カラースペースはAdobeRGBを選択して保存しましょう

AdobeRGBを選択する理由の説明が無いのです。
授業では恐らくここに言葉が補足されるのでしょう。

まとめ

本書の終わりに

授業で使うのにふさわしい写真の教科書がほしい。

とあります。
まぁ、あれです。教科書としては10年使えるのでしょう。

あと、各章の終わりにコラムが有ります。写真が好きな人は楽しめると思います。

ほとんど悪口になってしまいましたが、まだ購入していない方の参考になれば幸いです。

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